生活費も家賃も足りない。制度を調べても、名前が多くて自分が使えるのか分からない。そんなときは、制度を一つ選んでから電話しなくても大丈夫です。
まず「何の支払いに、いつまでに困るのか」を伝えます。
公的な支援には、返す必要があるお金を借りる「貸付」と、原則として返さずに受ける「給付」があります。給付でも、条件に合わない受取りなどでは返還が必要になることがあります。
どちらも、申請すればすぐ入金されるとは限りません。この記事では、最初の相談先と、その後に聞かれることを分けて説明します。
制度名も窓口名も分からなければ
お住まいの市区町村の役所へ、「生活費と家賃に困っています。生活の相談ができる窓口を教えてください」と聞けます。今日食べる物がない、今夜の居場所がないなど急ぐ事情があれば、それを先に伝えてください。
電話をつないでもらったら、「家賃は○日までに○円必要です。今は○円しか用意できません」と、分かる部分を伝えます。金額が不明なら、通知や請求書を見ながら話してかまいません。
「ここは担当ではありません」と言われたら、「では、どの窓口へ連絡すればよいですか」と、名前と電話番号を聞いてメモします。担当が違うことと、制度の対象にならないことは別です。次の窓口には、前に案内された内容と支払いの期限を伝えます。一つの制度が使えなくても、ほかに相談できる支援がないか尋ねてかまいません。
困っている支払いごとに、相談先を探す
| 困っていること | まず相談する先 |
|---|---|
| 生活全般・家計・仕事探し | 自立相談支援機関 |
| 一時的な資金・教育費など | 市区町村社会福祉協議会 |
| 家賃・住まいの維持 | 自治体の住居確保給付金窓口 |
| 病院の窓口で払う医療費 | 受診先の医療相談窓口。市区町村国保の窓口負担の減免・猶予は国保担当 |
| 市区町村の国民健康保険料の納付 | 納付書に書かれた市区町村の担当窓口 |
| 生活そのものが維持できない | 福祉事務所の生活保護担当 |
必要なお金を借りる支援:生活福祉資金
生活福祉資金は、収入が少ない世帯、障害者のいる世帯、高齢者のいる世帯などを対象とする貸付制度です。相談支援とあわせて、必要なお金を借りる仕組み。給付と違って、返済が必要です。
制度を実施するのは都道府県の社会福祉協議会ですが、まず相談する窓口は市区町村の社会福祉協議会です。名前が分からない場合は、役所で地域の窓口を聞けます。
資金には総合支援資金、福祉資金、教育支援資金などがあり、目的ごとに条件が異なります。日常生活の継続的な補填や民間金融機関への返済は、対象にならない場合があります。申込み後には審査があります。
貸付が決まるまでは入金を確定した予定にせず、支払いの期限も窓口へ伝えてください。
家賃を払えず、住まいを失いそうなとき
主たる生計維持者が離職・廃業から原則2年以内の場合、または本人の責任によらず収入を得る機会が離職・廃業と同程度まで減り、住居を失うおそれがある場合、住居確保給付金の対象になる可能性があります。
支給対象、収入・資産要件、支給額・期間は自治体の窓口で確認できます。自分の状況が当てはまるか、家賃の支払日と一緒に聞いてみてください。支給金は原則として自治体から賃貸人等へ直接支払われる案内です。
病気などやむを得ない事情で求職活動ができなかった期間は、離職・廃業からの期間に加算できる場合があり、最長4年以内になります。
2025年4月からは、家賃が安い住まいへ移るための「転居費用補助」も加わりました。収入が大きく減って住まいを失うおそれがあり、家計を改善するために転居が必要な方が対象です。
毎月の家賃補助とは別の支援なので、使える条件・対象となる費用・上限を、お住まいの自立相談支援機関で確認してください。
病院代が払えず、受診をためらっているとき
費用が心配なときは、受診先の受付に「医療費を払うのが難しいので、支払いを相談したい」と伝えてください。医療相談室や、医療ソーシャルワーカーなどの相談員につないでもらえるか聞いてみます。
無料低額診療事業を行っている医療機関なら、収入や生活状況に応じて、診療費の負担が軽くなる場合があります。どの病院でも使える制度ではなく、対象となる基準も医療機関ごとに異なります。自治体のホームページなどで実施医療機関を探し、利用できるか、何が必要かを直接相談します。
この事業では、院外薬局で払う薬代は対象外です。別に薬代の助成を設けている自治体もあるので、薬を受け取る費用も難しい場合は、相談員や自治体にあわせて伝えてください。
市区町村の国民健康保険に加入している人は、市区町村の国保窓口で、病院で払う一部負担金の減免・徴収猶予について相談できる場合があります。対象となる事情や収入・資産などの条件は自治体で確認します。
病院で払う医療費と、国保の保険料は別の支払いです。保険料の納付に困っている場合は「税金・社会保険料を払えないときの相談先」も確認してください。食費や住まいまで維持できない場合は、次の生活保護の相談も並行できます。
食費や住まいなど、生活そのものを維持できないとき
資産や能力などを活用しても生活が困窮し、最低限の生活を維持できない場合は、生活保護について福祉事務所の生活保護担当へ相談できます。
窓口では、今の収入・預貯金・家賃・借金の返済などを伝えてください。説明がうまくまとまらなければ、生活費がいくら足りないか、分かるところから話してみてください。
生活保護は、必要な書類がそろっていなくても申請できます。「書類が全部そろってから」と待たず、福祉事務所に今の生活と、申請したいことを伝えられます。申請できることと、保護が決まることは別で、状況の確認があります。
生活費の支援と、借金の返済相談は分けて考える
公的な貸付・給付制度は、民間の借入返済を直接肩代わりする制度ではありません。返済が難しい場合は、支払い先への連絡、法テラス等への相談、家計の確認を並行します。今月払えないときの対応と借金の相談先も確認してください。
広告|シン・イストワール法律事務所
生活費の支援だけでは借金の返済が続けられない場合は、借入先・残高・毎月払える額を伝え、返済方法を弁護士に相談できます。給付金を受け取れるかの相談とは分けて、手続きの費用も確認してください。
最初の連絡ができたら、分かる範囲で用意する情報
- 世帯の収入と預貯金のおおまかな額
- 家賃・光熱費・食費など毎月の支出
- 滞納・返済の状況
- 離職・収入減少・病気など、困窮した経緯
書類が全部そろってからでなくても、窓口へ連絡できます。「相談に何を持っていけばよいですか」と聞くところから始めると、準備もしやすくなります。
奨学金の返済が難しい場合は、日本学生支援機構の減額返還・返還期限猶予という別の制度があります。奨学金が返せないときの制度で扱っています。
支払いの用途と期限を、地域の窓口へ伝える
公的支援には、貸付だけでなく、給付や生活・仕事の相談もあります。ただ、申請すればすぐ現金が手に入るとは限りません。
生活費、住まい、借金返済のうち何に困っているかと、いつまでに必要かを地域の窓口へ伝えて、使える制度を一緒に確かめてもらいましょう。
