毎月の奨学金が重い。「少なくなれば払える」のか、「今は支払いを待ってほしい」のかで、相談する制度が変わります。制度名が分からなくても、そのままの言葉で相談できます。
この記事は日本学生支援機構(JASSO)の奨学金が中心です。通知や契約書で返す相手を見てください。病院・自治体・学校などから借りた奨学金には、JASSOの制度がそのまま使えるわけではありません。
月々を減らすか、支払いを待ってもらうか
「返還」は、借りた奨学金を返すこと。月々を減らすのが「減額返還」、支払いを待ってもらうのが「返還期限猶予」です。どちらも、もともと借りたお金(元金)を免除する制度ではありません。
すでに支払いが遅れている場合は、そのことを先に伝えてください。減額返還は、申請時と審査時に延滞していないことなどが要件です。延滞していても、利用できる猶予などがないかを相談できます。
- 減額返還制度:毎月の返還額を3分の2、2分の1、3分の1、または4分の1に減らし、その分返還期間を延ばす制度です。総返還額は変わりません。
- 返還期限猶予制度:一定期間、返還そのものを先送りする制度です。猶予期間中は返還が止まりますが、その分、最終的な返還完了時期が後ろにずれます。
今の希望に近いところから、条件を読めます。
月々を減らす制度の、収入・所得の目安
減額返還は、1回の申請で最長12か月、通算15年まで使えます。続けて利用したいときは、期間が終わる前に改めて申請します。
一度申し込めば15年間そのまま続く、という仕組みではありません。JASSOの減額返還制度の説明
「年収」と「所得」は同じ金額ではありません。給与の年収は税金などを引く前の収入、給与以外の所得を含む場合は必要経費などを差し引いた所得の金額で見ます。手取り額や売上額を、そのまま同じ列へ当てはめないでください。
| 本人が扶養している子どもの人数 | 給与所得者の年収目安 | 給与所得以外を含む方の所得目安 |
|---|---|---|
| 基本の目安(子ども0~1人) | 400万円以下 | 300万円以下 |
| 子ども2人 | 500万円以下 | 400万円以下 |
| 子ども3人以上 | 600万円以下 | 500万円以下 |
本人が扶養している人については、1人につき38万円を収入・所得の金額から差し引いて審査されます。「控除」は、このように一定の額を差し引くことです。
表の金額だけを見て利用できないと決めず、扶養する人の人数も申請時に伝えます。収入が目安以下であることだけで、承認が決まるわけではありません。
支払いを待ってもらう制度の目安:経済困難の場合
経済困難や失業などを理由とする一般猶予は、対象となる理由の期間を合わせて通算10年までです。一方、傷病・災害・生活保護受給中など、猶予を受ける年数に制限がない理由もあります。
「10年を使ったから、もう何も相談できない」と決めず、いま困っている事情を伝えてください。JASSOの理由別の案内
| 区分 | 給与所得者 | 給与所得以外の方 |
|---|---|---|
| 基準 | 年収300万円以下 | 所得200万円以下 |
定められた「特別な支出」を控除した後の額が基準内になる場合や、前年度からの収入減少により基準内となる場合も申請が可能です。
減らせば払えるのか、いったん返還を止める必要があるのかで相談内容が変わります。上の猶予の収入基準は「経済困難」の場合です。
2026年9月時点では、2025年12月以降に卒業・退学し、無職・未就職などで収入が少ない方や進学準備中の方は、「新卒等」の申請理由も確認してください。減額返還にも新卒等の区分があり、卒業時期によって、添付書類なしで申請できる期限が分かれています。
失業・傷病・災害などには、それぞれの申請理由と要件があります。JASSOは減額して返還を続けられる方に減額返還を勧めていますが、減額返還を先に利用しないと猶予を申請できない、という順番ではありません。
支払いが遅れると、信用情報にはいつ登録される?
JASSO奨学金は、借用時点で全員が個人信用情報機関に登録されるわけではありません。登録されるのは、以下の条件をすべて満たす場合です。
- 個人信用情報の取り扱いに関する同意書を提出していること
- 延滞が3か月以上続いていること
新規に返還を開始した方の場合は、返還開始から6か月経過した時点で延滞が3か月以上に達していれば登録対象となり、その後は毎月登録の判定が行われます。同意書を提出していない場合や、延滞が3か月未満の場合は登録されません。
Xでは、奨学金の滞納を放置して裁判所まで行った、一番やってはいけないのは放置すること、という投稿が見られました。
奨学金の返済滞納で、裁判所まで行った人間として書きます。
— 岩切健一郎 / 発達障害専門FP(FP1級/CFP®︎) (@hokennobro) September 3, 2026
返せないときに、一番やってはいけないのが放置。
奨学金なら、条件を満たせば減額返還や返還期限猶予という制度があります。…
これは投稿者個人の体験であり、同じ結果が保証されるものではありません。減額返還や返還期限猶予も、申請すれば必ず通るという制度ではなく、収入基準などの要件を満たす必要があります。
手続きの名前が分からない段階でも、今払える額や延滞の状況を窓口へ伝えて、利用できる方法を確かめてください。
申請前に、返還先・延滞・必要な書類を確認する
相談の一言は、「奨学金の返済が難しく、月額を減らすか、待ってもらう手続きを相談したいです」で構いません。奨学生番号、今月の返還額、払える額、延滞の有無が分かれば伝えます。分からない欄は、分からないまま相談を始められます。
減額返還制度・返還期限猶予制度とも、JASSOのスカラネット・パーソナルから申請書類を確認し、申請理由に合った証明書類を確認します。経済困難の場合の基本書類は、市区町村が発行する所得証明書・所得と課税額が分かる証明書・非課税証明書などです。マイナンバーの提出などで省略できる場合もあります。
申請には審査があり、必ず承認されるとは限りません。申請中でも、承認されるまでは通常の返還が必要な点に注意してください。
すでに2回続けて口座振替ができなかった場合、人的保証では連帯保証人にも通知や電話があります。信用情報への登録条件とは別なので、「まだ3か月ではないから連絡は来ない」とは考えないでください。届いた振替不能通知で次の金額を確認し、口座振替以外の入金方法は原則対応していないため、自分で振込先を探さずJASSOへ確認します。まとめて払えない場合は、その金額と次の振替日を伝えて猶予を相談してください。
保証人への請求と、JASSO以外の奨学金は別に確認する
JASSOの人的保証では、延滞すると連帯保証人・保証人にも通知や請求が行われます。借りた本人が自己破産して免責を受けても、保証人の支払義務はなくなりません。返還を続けることが難しい場合は、保証の種類と保証人の有無も相談時に伝えてください。
機関保証でも、保証機関がJASSOへ代わりに返したことで本人の借金が消えるわけではありません。その後は保証機関から本人に請求されます。
病院などの奨学金で「一定期間働くと返還が免除される」という契約なら、必要な勤務期間、中途退職時の扱い、返還期限を契約書で確認します。JASSOの制度がそのまま使えるわけではありません。分割や猶予を相談できるかは、実際に借りた先へ確かめてください。
契約内容や請求額に争いがある場合は、契約書を持って法律相談へ進む方法があります。
最初の相談で案内されたことに、保証の種類や、借りた相手との契約条件も書き足します。分からない点は「この欄の意味が分かりません」と、通知や契約書を見せながら聞けます。制度名をすべて覚える必要はありません。
よくある質問
Q1. 減額返還制度と返還期限猶予制度はどちらを使うべきですか?
総返還額を変えずに毎月の負担を減らしたい場合は減額返還制度、一定期間まったく返還できない場合は返還期限猶予制度が選択肢になります。経済困難・失業・傷病などの事情と、減額後なら払えるかを伝えて相談します。
なお、減額返還は申請時・審査時に延滞がないことなどが要件です。すでに延滞している場合は、その事実を伝えて利用可能な手続きを相談してください。
Q2. 延滞するとすぐに信用情報に登録されますか?
いいえ。個人信用情報の取扱いに関する同意書を提出しており、かつ延滞が3か月以上続いた場合に登録されます。同意書を提出していない場合は登録されません。
Q3. 制度を利用するとブラックリストに載りますか?
減額返還制度・返還期限猶予制度は延滞ではなく正式な救済制度のため、これらを適切に利用している限り、延滞による個人信用情報の登録対象にはなりません。
Q4. 所得連動返還方式でも減額返還を申し込めますか?
所得連動返還方式は、所得に応じて毎月の返還額が決まるため、減額返還は申請できません。返還期限猶予は申請できます。自分の返還方式を確かめ、支払いが難しい事情をJASSOへ伝えてください。JASSOの所得連動返還方式のFAQ
Q5. 教員の奨学金免除が広がるなら、返還を待ってもよいですか?
「免除されるかもしれない」と思うと、今すぐ返すのをためらいますよね。ただ、2026年9月25日に確認したJASSOの教員向け返還免除は、大学院で借りた第一種奨学金が対象で、学部で借りた奨学金は対象外です。教員になれば誰でも、すべての奨学金が免除される仕組みではありません。
制度の拡大が検討されていても、今月の返還が自動で止まるわけではありません。払えそうにないなら、発表を待たずに減額返還や返還期限猶予を相談します。借りた時期・奨学金の種類・勤務先などを伝え、自分が使える制度を確かめてください。
返還先への相談と、生活費・借金の相談を分ける
返済が難しくなりそうなら、延滞する前にJASSOの窓口へ相談してください。奨学金以外の支払いや契約の問題もあるなら、自治体の消費生活センターや法テラスなどへ話す方法もあります。奨学金、ほかの支払い、契約の問題。相談したいことごとに、窓口を分けて探せます。
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奨学金だけでなく、カードやローンの返済も重なっているなら、借入全体について弁護士に相談できます。保証人の有無も伝え、返還制度を使う方法と債務整理の違い、家族への影響や費用を聞いてください。減額返還や返還期限猶予が使えるかは、貸与元にも確認してください。
