夫が妻に隠れて借金をしていた、家族に借金があるとわかった――そのとき頭に浮かぶのは、これからの生活はどうなるのか、車はどうするのか、子どもの学費や養育費はどうなるのか、このまま一緒にいられるのか、離婚も考えるべきなのか、そういうことです。次から次へと、いろんなことが頭をよぎります。
私の場合は、まず家の空気が終わりました。1週間くらい家じゅうが暗くなって、やっと弁護士に相談する方針になりました。これは、うちで実際にあった流れです。ほかの家庭も同じ順番になる、という話ではありません。この記事は、その「相談する」に向かうまでの間に、知っておいて損はないことをまとめています。

発覚した夜は、「責任の確認」と「生活の確保」を分ける
家族の借金が分かった日に、返済の結論まで出す必要はありません。家族に法的な支払義務があるかという話と、家賃・食費など目の前のくらしをどう守るかという話を分けると、少し考えやすくなると思います。借金の残高だけでは、そのどちらも決まりません。
| 今確認すること | その場で急いで決めないこと |
|---|---|
| 誰の名義で、どこと契約したか | 家族名義で新しいローンを組むこと |
| 保証人・担保・裁判所の書類があるか | 内容が分からない書類への署名や返済の約束 |
| 次の入金までに必要な生活費 | 家族の預金をすべて返済に回すこと |
| 本人が相談できる日時 | 「二度としない」という約束だけで解決扱いにすること |
書類の写真やコピーは、本人と相談し、共有できる範囲で残します。借入や返済の記録を信用情報機関から取り寄せることを「開示」といいます。家族が行う場合にも、各機関が定める代理手続きが必要です。本人になりすましてログインしたり、申し込んだりはしません。
家族というだけでは、通常は返済義務を負わない
法テラスは、借金をした本人の家族であることだけでは支払義務はないと案内しています。貸金業者が、法律上の支払義務のない家族へ返済を求めることも禁止されています。
電話や郵便が来ると、すぐに何とかしなければと思うこともありますよね。その場で支払いを約束したり、自分名義で借りたりする前に、誰がどの契約をしているのかを確かめておきたいと思います。
ただし、保証人・夫婦の生活費・相続は別に考える
ただし、保証や相続などで返済義務が生じることもあります。次の3つに当てはまる可能性がないか、書類を見ながら確かめておけるとよいですね。
保証人・連帯保証人になっている
保証人・連帯保証人は、借りた本人とは別に、保証契約に基づいて支払いの責任を負う立場です。「家族だから払う必要がない」という説明だけでは判断できません。署名した覚えがない、名前を無断で使われたかもしれない場合は、そのことを相談先へ最初に伝えてください。
借りた本人が自己破産して免責を受けても、保証人の支払義務はなくなりません。「本人が弁護士に相談したから、自分への請求も終わる」とは限らないため、保証人自身の収入・生活費・請求額も分けて相談してください。裁判所の説明(Q22)でも、この点が案内されています。
相談時には、保証契約の写し、届いた請求書、裁判所の書類、自分の収入と生活費が分かるものを用意します。署名に心当たりがない場合は、そのことを最初に伝えてください。本人と同じ窓口に相談する場合も、「保証人である自分の相談も受けてもらえるか」を確認し、必要なら別の専門家へ相談します。相談先の違いと連絡時のメモを使えます。
家賃や光熱費など、夫婦のくらしのための契約
家賃や光熱費、食費など、夫婦が日々暮らすためにした契約では、夫婦双方に支払いの責任が生じることがあります。法律上は「日常家事債務」と呼ばれます。ただし、配偶者の借金なら何でも当てはまるわけではありません。何のために、どんな契約をしたのかを分けて相談します。
亡くなった家族の借金を相続する場面
相続では、預貯金や不動産だけでなく借金も引き継ぐ対象になります。借金を引き継ぎたくない場合の相続放棄や、相続財産の範囲で債務を引き継ぐ限定承認には、原則として「自分が相続人になったことを知った時」から3か月という期間があります。判断前に遺産を処分することは避け、家庭裁判所や専門家へ早めに相談してください。
こだまん家族の借金が分かって、すぐに冷静な判断をするのは難しいですよね。ただ、相続には手続きの期限があります。気持ちが落ち着くのを待つうちに期限を過ぎないよう、相談先と期限は先に確かめてください。整理しきれていないことも、窓口で伝えてよいと思います。
少し落ち着いてから、確認しておきたいこと
- 請求書・督促状・契約書を、あれば写真やコピーで残しておく
- 貸した会社や相手の名前(債権者名)、いま残っている借金、次の返済日を、分かる範囲で一枚に書く
- 本人と家族の生活費を分けて考える
- 誰に相談すればいいかわからなければ、法テラス等の窓口を調べておく
家族が代わりに支払うかどうかは、契約関係と生活への影響を確認してから考える問題です。支払いを急ぐあまり、借入れを増やす判断は避けてください。
本人が話したがらないとき、家族だけでできること
「全部言って」「本当にこれで最後?」と聞きたくなるのは自然です。ただ、今夜の話し合いだけで全容が出るとは限りません。たとえば「今日は請求書に書かれた期限だけ確認したい」「次は相談予約を決めたい」と、一度に話すことを絞る方法もあります。これは会話の例で、うまくいくことを保証する方法ではありません。
本人が相談を拒んでいても、家族自身が相談窓口へ連絡することはできます。ギャンブル等が関わるなら、厚生労働省が案内する保健所・精神保健福祉センターは家族の相談にも対応しています。家族ができる支援の範囲と、自分の生活を守る方法を相談してください。
話し合いで暴力や脅しがあり、安全が心配な場合は、数字を聞き出すことより距離を取ることを優先します。緊急の危険がある場合は警察・救急へ。家族会議を必ず続ける必要はありません。
家族会議で確認する項目
借りた金額や返済日が、すぐには全部分からないこともあります。下の項目を一枚のメモにし、分からないところは空欄のままで構いません。前の節で残した請求書などを使って、少しずつ埋めていきましょう。
- 借入先と現在の残高
- 毎月の返済額と返済日
- 滞納の有無と届いている書面
- 保証人・担保の有無
- 毎月の手取り収入と最低限の生活費
- 本人名義以外の契約がないか
話した数字が合わないときは、会員ページ、通帳、カード明細、信用情報の開示などの資料で確かめると、記憶だけに頼らず整理しやすいと思います。借入先が分からない場合は、信用情報を開示する方法も参考にしてください。
本人に借金の整理を促すときの注意
「なぜ隠していたの」「ほかにもあるの」と聞きたくなりますよね。話が進まなくなったら、その場で全部を言わせることより、相談の予約と手元の書類をそろえることに切り替えても構いません。「請求書にある会社と金額だけ、次に一緒に見よう」のように、次にすることを一つに絞ります。
返済が継続できない状況なら、多重債務の相談先を確認し、本人が弁護士・司法書士などへ相談する選択肢を検討してください。家族だけで契約書への対応を決めないことが大切です。
落ち着いて話せなかったからといって、その日のうちに結論を出し直す必要はありません。安全を保てる状況で、書類の確認や相談先探しを少しずつ進められればと思います。
家族が避けたい3つの行動
- 契約関係を確認せず、その場で支払いを約束する
- 家族名義で新しく借りて返済を埋める
- 本人の代わりにすべてを管理し、原因や毎月の収支を確認しない
肩代わりで一時的に残高が減っても、収支や借入の原因が変わらなければ、再び借金が増えることがあります。助けたいと思う一方で、自分や子どもの生活費まで足りなくなるのは避けたいですよね。家族が負担できる範囲も含めて、第三者の相談窓口へ話してみるとよいと思います。
相続の話で、もう一つ大切な違いがあります。相続放棄は、亡くなった人の財産や借金を引き継がないための手続きです。それと、自分が結んだ保証契約は別です。相続放棄をしても、自分が保証人として負う支払いの責任まで消えるとは限りません。保証の書類も一緒に、法テラスなどの法律相談へ持参してください。








